2011年1月19日水曜日

直感

戦略は直感に従う、という本を読んだ。昨年に日本語で発売されたが、今学期にうけるコロンビアMBAの名物授業である。久々に面白い本に出会った感じ。

単なる直感、専門的直感(職業等での反復で身につく)、戦略的直感は、直感が思い浮かぶ経路がまったく違うということを教えてくれる。人類の先人達は、多くが戦略的直感により偉業を成し遂げている。コペルニクス、ニュートンから、ブッタまでも同じ思考回路が機能したというし、企業でも社会でも一人一人の戦略的直感が社会を豊かにするという考えだ。

ダガン氏の研究によれば、自分の経験と先人達の学習、ひらめき、平常心、貫徹する意思、が備わることが大切という。殆どの発明とはそもそも何かと何かを組み合わせることだけであり、独創性とは無から有を生むものではないとする。

面白かったのは、目標を決めて綿密に計画をして努力をする、という従来型の成功の法則(特にアメリカ的である)は間違っているというものだ。最近、感じていた事である。勉強や出世ならゴールはあるが、それ自体はあまりレベルの高いことではない。なにか新しいことを起す時に、もともとも明確な目標を設定するのは無理で、日和見的に機に備えて戦略的直感を信じて行動する、という規範が必要という。

一方で、過去の先人に学ぶことがとても大切という、殆どの人に普遍的な価値観をそのまま残していることがとても興味深かい点だ。ただの直感で世界をかえることはできない。努力をして積み上げたものの上に生まれる直感こそが大切ということであった。

面白いので大変おすすめです。