2011年2月21日月曜日

中国の旅

一週間中国に行ってきました。桂林という観光地しか行った事がなかったのですが、今回は香港、上海、南京、北京と大きな都市をぐるっと回ってくることができました。アメリカ人と欧州人にシンガポール人に中国人、日本人は私一人で20人ぐらいの投資家パーティーで中国、欧米、日系のヘルスケア企業や施設を回りました。非常に有意義でした。

企業の細かい話は避けますが、率直な印象を書いておきます。

①街の風景は日本にそっくり。道路や空港、高層ビルや住居まで、欧米に比べるととても近い。全体的に作りがとても大きい事が違いかな。不動産バブルなのだろうけども。

②街の物価が二分化されている。欧米フランチャイズと街の露店の物価がとても違う(マクドナルドの朝セットは300円だが、隣の露店では30円で食べれる)

③経営層や要職の人は押し並べて英語が上手で日本企業とはだいぶ差がついている(喋れない人もいるが)。アメリカの博士号を取ってアメリカで働いて本国の要職に帰るというのが一つの成功ルートになっている。

④成長性は先進国とは比べ物にならない。重複を覗いた付加価値のGDPが一桁後半ということは、売上や利益はその何倍のスピードで成長しているということ。売上3割成長、利益5割成長は当たり前。

⑤情報統制が非常に激しい。You tubeもGoogleもFacebookも全くアクセスできないのは素直に驚いた(Google mailは見れる)。Face bookに入れず世界の友人ネットワークから取り残されることになるし、You tubeでの情報発信を見れない事は、中国人の国際的な様々な感覚が大きくずれることになるだろう。反政府デモも今後どう押さえて行くのか?

⑥カルチャーギャップは欧米と比較して相当少ない。顔や姿も一緒だし、会議での発言の仕方や望み方は日本人にだいぶ近い(英語でやっているからかもしれないが)。英語ができる中国人は欧米の経験があるせいか、私にもとてもフレンドリーで次の約束も積極的にしてくる。

⑦欧米人は中国の食文化に驚くほど免疫がない。鳥の姿煮やフカヒレのスープなどは怖がってまったく手をつけずに写真をバチバチ。中国の文化を馬鹿にされると(意識してないのだろうが)何故かアジアを蔑まれているような気分になる。

⑧日本人コミュニティーがとても大きいし、至ところで日本語が書いてあるし、分かる人も多い。日本全体で欧米よりアジアとの結びつきが強いことがよくわかった。日本人の生活の現地への順応という点でも、欧米よりも明らかにハードルが低いと思う。

⑨共産党と家族社会。病院見学を行ったが、南京一の巨大病院は一般の病院と共産党幹部向けの病院が二種類ある。後者は最新の設備をそろえてピカピカ。使っている薬や器具も天地の差がある。病院内の要職は親戚だらけ。

⑩医療システムはここ5年ぐらいで急速に変わっている。病院や薬価の仕組みは日本そのもの。特許という概念はまだなく、国内企業のコピー製品をなるべく安く多くの人に浸透させることが政策。あと5年でさらに大きく変わるだろう。

こんなところでしょうか。欧米生活に疲れているせいもあるのか、アジアはいいなーということは強く思いました。一方で、欧米に4年ぐらいいてMBAにちょろっと行ったという私程度の経験では、中国ではグローバル人材として全然通用しないということもよく分かりました。学部から博士まで米国で勉強して、現地で10年働くというところまで徹底的に苦労して、そこで生き残った人が本土に帰って活躍しています。韓国人も他のアジアの国も同じで、ここは日本の感覚がズレています。欧米のMBAは費用対効果がないという人がいますが、二年ぐらいちょろっといって給料が上がらないのは当たり前なのでしょう。必要な投資額が少なすぎます。やはりグローバル人材の育成には最低10年かかりますね。

また、中国に住むのは欧米人にとってはハードルが非常に高いと思います。地理的にも文化的にも、日本人とは負担が大きく違うでしょう。

来月はシンガポールに行きますが、これからは更にアジアを意識していきたいです。