今日で二学期が終了です。150時間の講義を聞いて、勉強時間は200時間ぐらいかな。終わったー。テストも米国風に慣れてきたので、落ち着いて対処できました。何をやったか簡単に記しておきます。
コーポレートファイナンス:企業評価の世界には会計基準ほど厳密なコンセンサスはありません。だからこそ、グローバルスタンダードを知っておいた方が良いという意味で役立ちました。DCF法を、通常のケース、M&A、LBOまで永遠とやります。最適資本構成の計算の仕方(市場βと資産βの変換)や、企業評価におけるB/Sの組み直し方、残存価値の複数の計算方法などが、かっちり頭に入りました。M&A、配当政策変化、破産処理などに関連する企業評価はAdvanced Corporate Financeのコースで。
ディシジョンモデル:MBAでは正しい意思決定をするための様々な道具を学びます。管理会計だけでなく、経営経済学(ミクロ経済学を経営者の切り口で再構築したもの)、統計学、心理学。この授業はシュミレーションソフトの利用です。この授業はProblem SolverとCrystal ballいうExceについているシュミレーションソフトを使いこなせるようにします。生産キャパシティや流通コストなどの制約条件をおいた、生産や流通の最適化をすること、モンテカルロシュミレーション法で仮想の市場テストを何万回も行うことを学びます。Excelは本当におりこうさん。
管理会計:一点抜け落ちていた観点に気付かされました。授業員のインセンティブと経営戦略を最適化することが管理会計の役割という点です。細かな計算して価格戦略や原価分析に役立てるのだけでは片手落ちです。その一点において非常に意味がありました。原価計算、予算実績対比、残余利益法やEVA法などは、触りだけなので新しい内容は無しです。バランススコアカードと内部移転価格のトピックは一度触れておいてよかったと思います。結局、インセンティブをどう設定するかが経営の役目です。日本では、仕事を通じた社会貢献の喜びで労働を行うというマルクス的な職業感が強いので、インセンティブというのは常に軽視されます。でもグローバルで経営するときは最も大切なテーマだと思います。
生産管理:面白かった。日本企業が世界に誇る分野です。その起源は、資源のない国が米国と戦争した第二次大戦の軍需工場にあると踏んでいます。QCやジャストインタイムをやったり、Little's Lawという生産ラインやマクドナルドの客さばきに使えるような公式を覚えます。私は仕事を通じて日本のマザー工場をとてつもない生産管理を何件も見させてもらったので、今までで一番クラスに貢献できた授業だったと思います。生産管理はマーケティングやイノベーションに勝る、キャッシュフローの源泉だということを改めて確認しました。トヨタのリコール問題もあったため、生徒からも質問の嵐でした。この分野を売りにして日本のMBAがアジアから生徒を呼べるようにならないかなと思います。原価計算もそうですが、欧米での工場周りの学問の蓄積は本当にお遊び程度のように思います。
マーケティング:ピーター・ドラッガー曰く「企業活動に必要な物は二つだけである。イノベーションとマーケティングだ。」ということで、非常に重要な活動です。日本企業の成長のボトルネックでもあります。売ることが営業なら、マーケティングは売るための仕組みを考えるマネジメントの仕事です。フレームワークはフィリップ・コトラーの教えが基本で、3c(Company, Competitor, Customer)で自社と他社と顧客をまず把握、STP(Segmentation, Traget, Positioning)を決定し、4P(Price, Promotion, Place, Product)の4つを最適に組み合わせて(マーケティングミックス)売上を最大化するということ。覚えたコンセプトやツールは以下です。顧客分析ではEVC(Economic Value to Customers)と、(LVC) Lifetime Value of Customers )を必ず当てはめ、Brandingも考えること。市場分析ではConjoint Analysisや回帰分析によるデータの分析。Marketing Channelでは卸の有無によるバリューチェン総額の利得がどう変化するかを理解。価格設定ではゲーム理論、価格差別化(ミクロ経済学の方で精緻にやりますが)、価格バンドリングなどのケースを解けるようにします。私は専門ではないので、重要論点を一通り整理できたこと役にたったかな。常識的には正しいと思われる選択が致命的なミスとなることをケースを通して学べました。
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