2010年12月16日木曜日

名古屋で住民投票実施へ

地元なのでずっとフォローして見ていましたが、市議会の住民投票が決定したようですね。大都市では初めての試みになり、地元民として誇りを持てるニュースです。

河村市長が主導していますが、何が今回のポイントなのか。

1.財政健全化をするためには、使える総額(税金)を減らすしかない
2.政治家は住民の代表として税金の使い道や役人を管理する役割に立ち返る
3.税金や規制のない楽市楽座が周り回って人々の生活を豊かにする

ということだと思います。

1については、役人組織はコストを減らす、費用対効果というインセンティブが組織的に働かないため、個人個人がまともな人でも組織としては支出が増え続けます。やっかいなことは、国の事業仕分けでも分かった通り、殆どの支出は無駄遣いとは言えず、一度ある目的にお金を使うと削れなということです。ただ、全て意味のある支出であっても、入ってくるお金以上のことをやるということは将来世代に借金を残すことであり、個人ならば親が借金をして身の丈以上の生活を送っていることと変わりありません。一方で市民は、自分たちにお金を使ってくれれば嬉しいので、仕組みとして歯止めがききません。政治家は票が欲しいため、市民へのお小遣いを増やしますから、さらに歯止めが効きません。10%減税をして総量を減らすことが、これらのサイクルを止める唯一の解決策だと河村氏は力説しています。

2については、議員総数の半減、給料の半減(800万円へ)を提唱しています。政治家が職業になってしまうと、議会と役人組織が持たれあって、上記のサイクルがさらに加速してしまうからです。これぐらいのドラスティックな試みは必要だと思います。副作用は分かりますが、それぐらい今の日本の政治と役人は腐敗していると思います。議会は国王の支出と重税をチェックするためにイギリスで始まりました。今の日本の仕組みは議会と役人が構造的に手を組んで、税金を取ったり将来世代から借金をして支出を増やす仕組みなってしまっています。国でも地方での同じ事です。

3については、織田信長が日本で行い、今世界が急速に動いている規制緩和、関税撤廃や経済の自由化です。国が決めた法人税の5%引き下げも同じ理論です。例えば、シンガポールは法人税が20%、所得税が15%と日本の半分以下です。企業はこぞってそちらに本社や事業を移し、人も商売のしやすい場所へどんどん移動していきます。世界は、税金の引き下げ競争のまっただ中です。最終的に、魅力的な楽市楽座を作れた場所だけが、経済のパイが大きくなって税収も増えてハッピーになります。米国や英国の1980年代の政策、その後の飛躍はまさに楽市楽座政策です。これも短期的には副作用がありますが、やらなければ若者や将来世代がもっと困ります。一番困るのは、自分達の居場所がなくなる役人と政治家なんでしょうが。

常に大切なのは、短期的より長期な視点、循環論より構造改革、各論よりも総論、という大きな視点です。政治がそれらを主導する土台作りということでは、河村氏のチャレンジには私も応援したいと思います。政治と役人は市民が自由に活躍できる環境を用意する、最低限のセーフティーネットを作ることに集中してもらいたです。こういう書き方をすると、自由主義者だとか格差を助長するとかの話になりますが、メリット>デメリットという視点がなくデメリットの話をしても仕方ありません。すべての薬には副作用はありますが、皆が薬を飲むのは何故でしょうか?日本もう待った無しです。日本以外の国は全て、副作用を受け入れて前に進んでいます。英米の例が上ですし、ドイツは東西合併やユーロ圏創設で多大な副作用を払いながら勇気をもって病気に立ち向かいました。

最近の電通の調査では高校生のなりたい職業一位が公務員、二位が大企業の社員だそうです。安定が夢というとんでもない話だと思います。公務員は大切な仕事とは思いますが、付加価値を生んだ民間からの税金で生活をし、それらを適切に分配する仕事なので、国の生活を豊かにする付加価値には直接的に何も貢献しません。新たな発明や発見をしたり、海外へのビジネスを作ったりと、国民の厚生に貢献する夢を持って欲しいと思います。今の日本は、高齢者や40歳以上の人達のツケを払わせれる世代間格差が深刻なので、それが若者の責任とは言えないのでしょうが。外国人に言わせると、この世代間格差は「児童虐待」だそうです。

いずれにしても、日本が変われる少ないチャンスが名古屋から動き出そうとしいることは間違いありません。住民投票のパワーというもは、一票の格差や、保守に向かった憲法改正という本質的な議論にも繋がる可能性があります。期待したいと思います。

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