2011年10月12日水曜日

Personal Leadership & Successの内容2

よって、まずはValue-Driven Lifeをコアに設定して、そのValueにそった身近なゴールを設定していくことが有効となる。このゴールの設定であるが、二種類のゴールがあることをまず知るべきである。

Extrinsic Goal:金銭的成功、社会的認知度の獲得、身体的魅力の獲得
Intrinsic Goal:個人的成長、社会貢献

前者は非常に設定が楽であるし、測定も簡単だ。ただ、こちらの人生の場合は、自分は人に成功していると見られることが必要であり、言い換えれば、幸せになる為には他社の承認が必要となる。人の評価が自分の選択や行動を決定することになる。また、非常に変動的であるため、不安、落胆を招くし、健康にとっても良くない。

後者は、設定が非常に難しいゴールであるが、普遍的なものであり、他人からの影響を受けるないものである。自分の価値に従って人生を歩いたかが必要であり、人の承認が自分の選択や行動を決定することはない。幸せや、健康に直結するものである。

もちろん、人生においてある程度の前者のゴールを意識する必要が出てくる局面はあるだろう。ただし、まずは自分の価値にアラインしたIntrinsic Goalを設定し、その後にExtrinsic Goalを考えるべきだ。金ありき、名誉ありき、出世ありき、見た目ありき、の人生はサステイナビリティが無い。スティーブ・ジョブス氏が他界したが、彼が述べていることはまさに後者を目指せということである。その上で、前者も達成しているから、あれだけの人に影響を与えるのだろうが。

ただし、人生は選択肢が外から与えられてることが多い。これを迫られたときは何を基準にしていけばいいのだろうか?Inner CoreやIntrinsic Goalに立ち返ることもあるが、もっと簡単に分かる。Choose some activities which make me feel good, not deflated.  である。自分の言葉でいえば、ワクワクすることに挑戦すれば良いのだと思う。

自分の目標を目指す時には、3つのことを「しないように」注意したい。

Outerscore Cardを持たない事(外部評価で判断をしないこと)
Instant gratificationは間違い(短期ではなく、長期を考える)
Being stuck within comfort zone に留まらないこと(チャレンジを忘れないということ)





2011年9月22日木曜日

Personal Leadership & Successの内容

リーダシップの授業であるが、これは全く毛色が違う。様々なテクニックを使って人や組織をコントロールすることではなく、自分の人生を人格を含めてどう運営し作り上げて行くか(Personal Leadership)、ということに焦点が当てられる。むしろ、人生の成功において必要なリーダシップは、他人を導くことではなく、自分を導くことである。突き詰めれば、リダーシップを身につけることとは、人生とは何か、幸せとは何か、ということに真摯に向き合い、その追求を自分の人生の中で実践していくこと、ということになる。

<人生の成功と幸せな人生>

まず、人生にとっての成功とは何か、を定義する必要がある。国や時代、人によって様々と思いがちだが、多くの人が共感でき、普遍的な成功の条件というのは比較的容易に設定できる。人生にとっての成功とは、

・幸せであること
・人間関係が充実していること
・健康であること
・従事している事柄に対して最大のパフォーマンスを出せること

である。次に幸福について考えてみよう。最近のとある研究では、幸福(Happiness)は以下の式で表せる。

Happiness = S + C + V

S: Set point, 幸せについての考え方 (50%)
C: Circumstances, 生活の状況(10%)
V: Voluntary control, 自分の裁量度合いの大きさ(40%)

括弧の中の数値は、幸福度合いに対するインパクトである。Cの「人生の状況」は、人が感じる幸福度に10%程度しか影響を及ぼさないのであるが、多くの人間は生活の状況を改善しようと必死に多くの労力を使う。これこそが「幸せのラットレース」とも言える終わり無き泥沼地獄になる。この項目を一つ一つ掘り下げて行こう。

<成果を求める人生 vs. 価値観を貫く人生>

まず一つ目のS(Set point of happiness)について。幸福を手に入れるにおいて、次の二つのどちらの考え方が望ましいだろうか?

A: 私は他人に成功していると見られる必要がある。つまり、幸せを感じるためには、他人の承認が必要である。他人の承認こそが、私の人生における選択や行動の基準である。

B: 私は私自身の道を作り、それに沿って生きる。私の人生は、他人の承認は必要なく、自分の選択や行動に影響を及ぼさない。

人が承認をするゴール(例えば金銭や名声)を設定し、その成果を獲得する。残念ながら、これでは幸せは手に入らない。一つクリアすれば、また次の成果が欲しくなるし、欲が次の欲を生む。また、成果が獲得できなければ、酷く落胆することになり、非常に浮き沈みの激しい人生である。一方で、自分のInncer Coreを見つめて、それに従って毎日を生きれば、何を手に入れた(持っているか)ではなく、何をしているか、を基準に生きることができる。

目標を設定する場合は、自分の人生の価値観に沿って生きることが先で、その中で目標を設定する。注意すべきは、目標は以下の二種類がある。

外面的な目標:金銭的成功、社会的名声や認知、肉体的魅力の向上

これらは、不安、落ち込み、不健康という要因に強く関連してしまい、幸せを遠ざける要因となる。

内面的な目標:個人の成長、社会に対する貢献

これらは、まさに幸福や健康といった要因と強く関連する。

つまり、幸せを得るためには、自分の人生の価値と人生を一致させること。目標を設定する場合は、内面的な目標を設定することが幸せを手に入れる人生となる。結果よりも課程や努力が大切である、という思考が重要になってくる。

これは偉人達の発言でも見て取れる。

人生における満足とは、努力自体にあり、目標の達成にはない。自分の価値観を信じ、成功の期待も、失敗の恐れも持たず、ひたすら努力すれば幸せが得られる(ガンジー)。勝利や成功を目指さず、真実や自分の心の光に向かって生きてきた(リンカーン)

次回に続く。

2011年5月14日土曜日

ナポレオングランスのサマリー

春学期が終わりましたが、名物クラスの感想を書いておきます。いや、本当に為になった。日本語の本も出ているので是非。


Napoleon's glance

コロンビアMBAの名物である思考法のクラス。「7つの習慣」のように人生への心構えを教えるクラスでもある。主題は、付加価値を創出する「直感」がどのように産み出されるのか。その科学的解明を、心理学、哲学、脳科学、歴史、戦争論等のアプローチで行う。カリキュラムを修了すれば「戦略的直観(付加価値を創出するヒラメキ)」を生み出す地力が身に付くというものだ。最も有意義だったのは、このような正解のないテーマについて、計100時間程、真剣に向き合ったことである。まず、授業の始めに下のようなA,Bどちらが好みか選択せよ、というクイズを受ける。

A.      己を信じ、明確なビジョンを持ち、懸命に努力する。
B.      機会に備え、現状を観察し、勝てる勝負に挑戦する。

A.      ゴールに届かなければ、計画を変えるべきだ。
B.      ゴールに届かなければ、ゴールを変えるべきだ。

A.      自分の経験はアイデアの宝庫だ。
B.      他人の経験はアイデアの宝庫だ。

A.      明確なゴールを決め、一歩一歩進め。
B.      ゴールが見えるまで、歩き出すな。

A.      意思のあるところに道がある。
B.      道があるところに意思がある。

付加価値を産む行動・思考法はBとなる(私は始めのクイズで20問中6Bを選んだ)。ナポレオン等の著名な軍人、経営者、発明家、芸術家などの伝記を読んで講義を受けるのだが、彼らは極めてBに近い思考法で行動をしていることが観察される。機会に備え勝てる勝負に挑戦する、道半ばで計画を変える、過去の先例を学び組み合わせる、ヒラメキを得てから走り出す、という行動を取っている。
ナポレオンを研究し、著書「戦争論」で戦略という言葉を世に送り出したクラウセビッツによれば、ヨーロッパ皇帝となるナポレオンの軍事的「戦略的直感」は、「平常心」、「先人の知恵の蓄積」、「融合」という3つの土台に基づいているとされる。Aの思考法は、ジェミニという軍事研究家の考えであり、成熟した官僚組織、ゲームのルールが変化しない環境で一時的に機能するが、付加価値の創造や変化への対応とはまったく相反するものとなる。ナポレオンが唯一Aの思考法で行動したのが、失脚の原因となったロシア遠征と説明される。ところで、エジソンの名言である「天才とは99%の努力と1%のヒラメキ」は日本人の誤訳であり、米国では「1%のヒラメキのない99%の努力は無駄である」が本来のメッセージとして伝えられえいる。誤訳がAの発想、本来はBの発想である。

戦略的直感を産む3つの土台からイノベーション創出している例として、「日本人は世界一クリエイティブである」という講義が3時間なされた。国民全員が「平常心」を東洋武術的な教育で体得している上に、世界中の文化や発明を相対的に偏見なく取り入れ、それらを融合する土壌がある。それが「戦略的直感」に繋がり、継続的なイノベーションを起こし続けている、という解説である。他の地域なら対立し棄却する概念を、吸収し融合する素地が日本には存在する(仏教と神道。刀と火縄銃。和魂洋才など)。教授が強調したのは、日本人はマネが上手いのではなく、真のイノベーターであるという点だ。外部の知恵と内部の知恵を融合することこそがイノベーションであり、ゼロからの発明は皆無である、ことがクラス全体を通じて繰り返えされた。現在の日本は、世界中の知恵を結びつけ付加価値を創出できる土台や心構えがあるのだろうか?必ずしも充分とは言えまい。言語や物質的な問題ではなく、精神的鎖国が問題といえる。


2011年5月9日月曜日

日本への処方箋


 今日は日本経済の処方箋について書きたい。これがソフトランディングをする唯一の道であると思う。これができなければ国家破綻、円暴落シナリオが現実味をおびてくる(ただし、今の状態がずっと続くよりは、国家破綻シナリオが早く起きた方が中長期的な日本にはよっぽど良い。これは次回に)。
 まず、現在の日本への世界からのコンセンサス。悪い部分を列挙してみる。日本経済全体は高齢期化が進み、社会保障負担は増し、財政は火の車、賃金の下方硬直性により未来を背負う若者は雇用を失い、生産年齢人口の低下で内需は落ち込み、日本企業もアジア企業のキャッチアップで競争優位を失っていく、というものだ。その原因は、日本人自体の元気の無さや、政治のリーダシップの無さとされている。首相が悪い、左寄りのポピュリズムだ、日本企業の経営方針が良くない、若者が草食系で元気がない、等である。さて、本当に問題はそこにあるのだろうか?首相を変えて、例えば米国型の経営を取り入れ、若者を訓練しなおせば、問題は解決するのだろうか?
 実はまったく違うところに問題が眠っている。それは、日本のマネー経済の運営に問題があることだ。本来は日本経済や日本人に100の力があるに、マネー経済の不適切な運用で、実際には50の力しか出せていないのである。そんな馬鹿な、と思われるかもしれないが、本当なのである。例えば、SONYTOYOTAは、今の倍の商品を国際市場で売ることができ、倍の日本人を雇用できるのだが、これは日銀の日本経済への敵対的とも言える政策によってそれが阻害されている。そう、すべては日銀の政策、運営の問題なのである。アジア諸国への間接的な補助金を出し続けているとも言える。高齢化、財政赤字、若者の雇用、日本企業の国際競争力、内需産業、全ての問題は、たった一点、日銀の金融政策ですべて解決する。日銀がその適切な方針を分かっていながら、1989年のバブルの舵取りへの非難が尾を引っ張って弱腰で変えることができない、不作為の罪、に全てが集約される。
 日本人やマスコミのおかしな経済感も、この問題の所在をあいまいにしている気がする。それは、マネー経済と実態経済は別物であり、実態経済が悪いのは実態経済に問題点があるという思想である。実際はまったく違う。貨幣経済や資本主義の仕組みである以上、マネーが実体経済に円滑に流れてこそ経済は正常に動くのは、教科書の一ページ目に書いてある。二つの経済は動学的に動いており、世界中の政府と中央銀行は、この動きに整合性があるように、高い経済成長を実現できるように必死に良い手を考えている。学問的に言えば、マネタリストや新古典派総合という1970年代以降の経済運営の枠組みが日本にまったくなく、1920年のケインズで経済政策の考え方が止まってしまっているのだ。(実際に日本の経済学の体系は、世界的に見て化石のような姿になってしまっている。世界が30年ぐらい前にやった議論にまだ決着をつけれていない。それどころかまだマルクス派が大学には沢山いるという始末である。)。
 日本の日銀職員は終身雇用であるため、ことなかれ主義で新しいことに舵を切れる人がいないのだろう。世界中の多くの中央銀行が進化をしているのに、日本は化石のような運営どころか、ただのサラリーマン化してしまっているのだろう。
 求められる日銀の政策とは、デフレの安定化政策から、インフレ政策への転換である。上限を決めて国債を日銀が直接引き受ければよい。法律改正で時間がかかるというなら、市場からどんどん買い上げればおい。大切なことはインフレ期待を作ること、その期待のコントロールが中央銀行の仕事という認識だ。そうすれば日本は全てよい方向に回転しはじめる。もう一度書くが、マネー経済をコントロールするだけで実態経済が良くなる訳がない、と直感的に思ってしまうのが、日本人のおかしな経済感である。金融政策により、実力以上にも実力以下にも経済は変わるのであるが、適切な金融運営とは実力通りの経済力を発揮させることである。実力以上の経済がいわゆるバブル経済であり、実力以下の経済がいわゆるデフレ経済である。どちらも、誤った金融政策によって作りだされる。今私が言っているのは、日本経済はもともと相当な力があるので、普通の金融運営をやればそこに戻るという提案である。
 新規の国債発行で名目残高は増えるのだが、過去に発行した殆どの国債の元本負担はインフレ下でどんどん下がっていく(利払いは固定)ので、財政全体の実質負担はどんどんと軽くなる。インフレは通貨価値の下落となるため、為替は確実に円安に向かう。これは悪い事ではない。今の日本の為替水準はあり得ないほど高く、輸出企業が正当に国際競争ができないような水準なのである。130円ぐらいまで円安が進めば、輸出企業はどんどん儲かり、日本の経済のバイオリズムは劇的に改善する。工場は日本に戻り、失業率や正規雇用の問題も解決する。製造業が戻れば、サービス業にお金が流れる。経済が戻れば少子化も止まる。将来の借金をして家を買っても教育費を出しても、その負担はインフレ下ではどんどん軽くなっていく。円安になれば、海外からの観光客が多く訪れる。企業は儲かり、現役世代の所得と雇用が元気になれば、税収も大幅に増える。高齢者も支えてもらう現役世代が元気であってこそ元気になれる。副作用は、海外旅行に行けなくなるぐらいだろうか。ハイパーインフレとか極端な事を持ち出すのも完全に詭弁である。というか、一国の中央銀行が適切なインフレをコントロールできるような能力が無いなら、そういう人材が日本にいないなら、諦めるしかない。日本以外のOECD諸国は、インフレをコントロールしている。日本だけが異常にレベルが低いと言わざるを得ない。
 マネー経済を唯一コントロールできるのは日銀である。日銀が、物価の安定の建前で、0%物価水準(もしくはデフレ)を許容しているならば、日本経済の目詰まりは続く。3%や5%となれば、経済は完全に息を吹き返すだろう。一方で、韓国、台湾、中国といった日銀からの間接的な補助金で成長してきた国は、大きな打撃をうけるものと思う。
 まずは、デフレを治すことだが、それができるのは日銀しかいない。もっと適切に言えば、日銀の過度の独立性を認めている政府が、日銀法を改正し彼らにインフレターゲットを命じることだろう。中央銀行が、政府から政策決定と手段の両方を独立させている姿はあってはならない。実態経済とマネー経済の運営が連携していない、という世界でも稀に見る不可思議な国家運営が行われているのが日本の問題点なのである。

2011年4月19日火曜日

新しい事をするときの葛藤

うーん、新しいコンセプトを既存のやり方に導入するのは本当に難しい。人って変化を嫌うし、新しい意思決定をすると責任が明確になるからサラリーマンだと尚更。理屈が通っているのは当たり前、それでも新しい事をやるというのは今迄やっていたことを少なからず否定することになるので、心理学でいう認知的不調和という脳の防御反応が出る。単純に今居心地が良ければ、何かを変えることで問題となるリスクを背負うことが強く意識される。人は恐れる生き物。その生存本能があるから、生き残って来られた。

人は決めなければならない時まで決めない、という格言がある。何か外圧があったり、大失敗したりした時にやっと重い腰を上げる。それまでは先送り。でも、それでは遅い。そのときには後悔と責任回避の押し付け合いという感情が混じった複雑な心理を取り扱わなくてはならないので、合理的な意思決定はとても難しい。とはいえ、前述のように現状維持バイアスに人は生物的に支配されているので、なかなか事前にリスクテイクできない。理屈が通っていてもそれを変えることが如何に難しいか。。。

足下の業務と将来の展望を一緒に考えることも凄く難しい。まったく違う思考回路が必要だから。普通はどっちも100%の力をだしても、できるかできないか。足下の業務に邁進する事だって大変。でも、将来を忘れて毎日の業務をこなすことにハマるのは凄く楽。疲れるまで働いてビールを飲めばそれは気持ちのいい一日が終わるし、自分が精一杯やってれば人の評価も気にならない。日々の生活は充実する。でも、毎日それでやっていたら将来的に競争には負けてしまう。努力1単位辺りの生産性を考えなければ、自分達のポジションは停滞か後退していく。でも、将来展望を考えて、足下の業務をこなせるほど世の中は甘くない。難しい。

人を説得するのは本当に難しい。自分が辿って来て行き着いたプロセスやヒラメキを一個一個、解きほぐしていかなくてはならないけど、多くのことは忘れているし、独自の経験の土台があったからヒラメキが生まれたことも多い。違った経験を積んだ人に、いかに説明するか。ロジックは通っていて当たり前。それ以外の何かが必要。反対に、今あるものを受け入れて説明するのは凄く簡単。

人の現状維持バイアスをどうコントロールできるか。リーダーシップとはこれに尽き気がする。

2011年4月13日水曜日

久々の更新

前の日記から二ヶ月経ちました。

地震一色ですね。震災日は子供を連れて日本に帰ってましたが、名古屋だったので幸運にも影響はありませんでした。後ろ髪を引かれながらも、NYに帰って来て日々の生活が始まっています。

アメリカに来て二年になりましたが、契約が切れたため引っ越しをしました。マンハッタンの対岸にあるHobokenというNJの街です。広くなり家賃も下がり、かなり快適。朝は水上バスで通い、子供を保育所にドロップして出勤します。とにかく、静か。マンハッタンの環境がうるさすぎたのでしょうが、この点は大満足。家も広いので子供も走り回る事ができて、やっぱり子供ができたら街から離れる生活の方が断然いいですね。もっと田舎に行きたい。。。

大学の後輩で、こっちの大学で研究職で働いている奴がNYに遊びにきました。気付けばお互いパパ。外国人だらけの環境で大変でしょうが、負けずに頑張っているようで、同朋として元気をもらいました。久々に昔の空気に戻って、とてもリラックスできました。

学校の方は、卒業を4ヶ月延ばして1学期に取る科目を半分に組み直しました。計二年で今年の12月で卒業の予定です。最長で5年まで延ばせますが、ダラダラとやっても仕方ないので、二年で終わるようには頑張ります。取る科目は今迄の半分になり、学習も充実しています。MBAは仕事無しでもかなり忙しいですが、フルタイムで16ヶ月を働きながら20ヶ月という始めのプランはタフすぎました。必須科目は、おさらいの科目も多かったのでなんとかこなせましたが、選択科目でしっかり勉強するためにはやはり時間が必要。一科目で500ページぐらいのケースや論文を読みますが、教科書や副読本の1000ページぐらいを読むとなると、既存のペースではとても無理ですね。

今は、事業立案と、国際ポートフォリオ運営を勉強してますが、内容は本当に素晴らしいですし、コロンビアに来なかったら一生身につけられなかったと思うものばかりなので、とても楽しい。読ませてくれる記事や論文も良いものばかりだし、スライドとカリキュラムを作っている教授は本当に凄いと思う。今は、教授に張り付いて仕事の内容を監修してもらったり、クラスメイトを会社に読んで意見交換をしたりと、かなり充実しています。一番大切なことは、将来に役に立つ人の繋がりを沢山作っておきたいです。人脈というと重たいですが、同じ業界も違う業界も、仲間と利害関係無しにディスカッションすることは大学とかの環境がないとなかなか難しいと思う。人の能力は根本的にそんなに差はないですが、アドバイスをしてくれる誰を知っているかはとても大きな差になります。日本人だけだと、同じ発想しか出てきませんが、バックグラウンドが違う外国人にアドバイスをもらうと、それだけで物事が解決したりします。あと8ヶ月ですが、気合いを入れて頑張りたいです。

では、また更新します。

2011年2月21日月曜日

中国の旅

一週間中国に行ってきました。桂林という観光地しか行った事がなかったのですが、今回は香港、上海、南京、北京と大きな都市をぐるっと回ってくることができました。アメリカ人と欧州人にシンガポール人に中国人、日本人は私一人で20人ぐらいの投資家パーティーで中国、欧米、日系のヘルスケア企業や施設を回りました。非常に有意義でした。

企業の細かい話は避けますが、率直な印象を書いておきます。

①街の風景は日本にそっくり。道路や空港、高層ビルや住居まで、欧米に比べるととても近い。全体的に作りがとても大きい事が違いかな。不動産バブルなのだろうけども。

②街の物価が二分化されている。欧米フランチャイズと街の露店の物価がとても違う(マクドナルドの朝セットは300円だが、隣の露店では30円で食べれる)

③経営層や要職の人は押し並べて英語が上手で日本企業とはだいぶ差がついている(喋れない人もいるが)。アメリカの博士号を取ってアメリカで働いて本国の要職に帰るというのが一つの成功ルートになっている。

④成長性は先進国とは比べ物にならない。重複を覗いた付加価値のGDPが一桁後半ということは、売上や利益はその何倍のスピードで成長しているということ。売上3割成長、利益5割成長は当たり前。

⑤情報統制が非常に激しい。You tubeもGoogleもFacebookも全くアクセスできないのは素直に驚いた(Google mailは見れる)。Face bookに入れず世界の友人ネットワークから取り残されることになるし、You tubeでの情報発信を見れない事は、中国人の国際的な様々な感覚が大きくずれることになるだろう。反政府デモも今後どう押さえて行くのか?

⑥カルチャーギャップは欧米と比較して相当少ない。顔や姿も一緒だし、会議での発言の仕方や望み方は日本人にだいぶ近い(英語でやっているからかもしれないが)。英語ができる中国人は欧米の経験があるせいか、私にもとてもフレンドリーで次の約束も積極的にしてくる。

⑦欧米人は中国の食文化に驚くほど免疫がない。鳥の姿煮やフカヒレのスープなどは怖がってまったく手をつけずに写真をバチバチ。中国の文化を馬鹿にされると(意識してないのだろうが)何故かアジアを蔑まれているような気分になる。

⑧日本人コミュニティーがとても大きいし、至ところで日本語が書いてあるし、分かる人も多い。日本全体で欧米よりアジアとの結びつきが強いことがよくわかった。日本人の生活の現地への順応という点でも、欧米よりも明らかにハードルが低いと思う。

⑨共産党と家族社会。病院見学を行ったが、南京一の巨大病院は一般の病院と共産党幹部向けの病院が二種類ある。後者は最新の設備をそろえてピカピカ。使っている薬や器具も天地の差がある。病院内の要職は親戚だらけ。

⑩医療システムはここ5年ぐらいで急速に変わっている。病院や薬価の仕組みは日本そのもの。特許という概念はまだなく、国内企業のコピー製品をなるべく安く多くの人に浸透させることが政策。あと5年でさらに大きく変わるだろう。

こんなところでしょうか。欧米生活に疲れているせいもあるのか、アジアはいいなーということは強く思いました。一方で、欧米に4年ぐらいいてMBAにちょろっと行ったという私程度の経験では、中国ではグローバル人材として全然通用しないということもよく分かりました。学部から博士まで米国で勉強して、現地で10年働くというところまで徹底的に苦労して、そこで生き残った人が本土に帰って活躍しています。韓国人も他のアジアの国も同じで、ここは日本の感覚がズレています。欧米のMBAは費用対効果がないという人がいますが、二年ぐらいちょろっといって給料が上がらないのは当たり前なのでしょう。必要な投資額が少なすぎます。やはりグローバル人材の育成には最低10年かかりますね。

また、中国に住むのは欧米人にとってはハードルが非常に高いと思います。地理的にも文化的にも、日本人とは負担が大きく違うでしょう。

来月はシンガポールに行きますが、これからは更にアジアを意識していきたいです。